読書日記「人形つくり」サーバン 作森の中の全寮制女子校。つまらない毎日を送っていた生徒クレアは、敷地に隣接する古い屋敷に住む人形作りの青年ニールと知り合いになる。不思議なことに人形達は彼の魔法によって命あるもののごとく動き出すのだった。やが
読書日記「テンペスト」シェークスピア 作これだけ文庫本などでたくさん売られているからには、戯曲を読むというのも観劇とは独立した楽しみなのだろう。セリフだけを追っていくのはまるで漫画を読むようなものだ。しかもシェークスピアなどはリアリズムとは
読書日記「黒縄」井上光晴 作1975年作品。刊行当時から知っていたが今になって読む。伊万里近くの土地で伝統の釜を引き継ぐ陶芸家の主人公。あと二日で自信の作品が焼き上がる頃、街で放火事件が起きる。犯人をめぐって噂が噂を呼び、主人公の家に同居する姉
読書日記「二十一世紀前夜祭」大西巨人 作2000年発行の短編小説及びエッセイ集大西巨人はまるで公文書のような大げさで堅苦しい表現をそのまま使うのが特徴だ。例えば「その『創刊の辞』的な短文について、大津は、どこが悪いのか、どこが連合国軍の占領政策
読書日記「お供え」吉田知子 作いつの間にか死んだ人と会話していたり、あれ?この人はもう死んだのではなかったの?と思っているうちに抜け出せない迷路をさまよっている。事の成り行きはたいがいうまくいかず、こちらの意思は通じず、行き着くところのない
読書日記「草の上の朝食」保坂和志 作著者初期作品。ほのぼのと平和で愉快な感触があって楽しい。男女数名の若いもんが同居していて、毎日近所一帯の猫にエサをやって回ったり、拾ってきたキーボードの練習をしたり、ダフ屋の手伝いをやってチケットをもらっ