今年読んだ本は70数冊、例年と同じくらいの冊数だった。半分弱がノンフィクションだったというのも、例年とほとんど変わりがない。興味と事情のままに淡々と読んでいる、ということなんだろうな。特に面白かったのが、久保俊治の『羆撃ち』。北海道でプロの猟
カンボディアから空路ヴェトナムに入る際、私は相棒に、「ヴェトナムの人はキッツいからね、カンボディアとは違うよ」と何度も釘をさした。いや、私だってヴェトナムは初めてだし、ヴェトナム人の知り合いがいるわけではないのですが。けれど、かつて彼の地に
この図案は、近年の展覧会の中でも出色のカッコ良さではないだろうか。カッコ良さと美しさが、極めて高いレベルで融和した傑作。 東京国立博物館の年内最終開館日に、彼らに逢いに行ってきた。『始皇帝と大兵馬俑』展。広い中国大陸を初めて統一し、度量衡を
プノンペンでW杯の予選を観たら、あとはあっさり帰国してもよかったのだが、連続した休暇をとること至難な我が相棒が、自分がいずれ仕事を休んで台湾へ遊びに行きたいと思ってらっしゃる上司の計らいで、丸々一週間休めることになってしまった。ならばやむを
He cried in a whisper at some image, at some vision - he cried out twice, a cry that was no more than a breath - “The horror! The horror!“ ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』を知ったのは、かの有名なコッポラの映画『地獄の黙示録』の原作である
カンボディアメシは美味い美味いとさんざん書いたけれど、実は意外なものに一番感動した。 突然の便変更のために乗れなかった飛行機の代金を取り返しに、プノンペンに着くとすぐ、地図にも載っていなかったLCCのオフィスを探し出して乗り込み、その足で試合の
トゥールスレンへは、アンコール遺跡や王宮同様、世界中から大勢の人が訪れているようだったが、ここが他と違うのは、そうした訪問者らの声が全く聞こえないという点だ。どの人も息をつめるようにして展示に見入り、パネルの文字を追っている。教室から廊下に
カンボディアは若者たちであふれている。旅行者の街シェムリアップと首都プノンペンでの経験だけで語るなら、10代20代が圧倒的という印象がある。元気のいい国、まだこれからの国。それにはもちろん、理由があるのだが。 小学校高学年か中学生の頃、家にあっ
写真が下手なのと、場所が暗いことを差し引いても、これを見て、美味しそう!って思いますか? カンボディアでの最初の晩ご飯が、これ。アンコールワット観光の拠点シェムリアップの町では、ホテルをとらずに民泊をした。以前南アフリカに行った折に、ケー
インドから図像を受容したという動かしがたい既成事実があるにもかかわらず、クメール彫像は全体として独自の傾向を見せている。カンボジアではヒンドゥー教がもつ恐怖、肉欲、もしくは不気味さという諸側面を常に遠ざけようとしてきたし、逆にインドではこう
初めてTVでバイヨンの四面仏を見たときの衝撃は忘れられない。謎めく微笑をたたえた巨大な尊顔が、石造りの高い塔からこちらを見下ろしているのを見た驚きは。 試合を観るついでにカンボディアを旅行しようとなった時に、まず思い浮かべたのがアンコールワ