『シークレット・オブ・モンスター』 カッコいい!スコット・ウォーカー(『ポーラX』)の紡ぐ鉄道の疾走音とリンクする不穏なスコアとスタイリッシュでどこかデカダンな芳香を放つ映像美から素直にそう感じた。 ジャン=ポール・サルトルの短編小説『一指
『ホドロフスキーの虹泥棒』 長らく日本未公開(米国も)だったホドロフスキーの過去作が公開。ピーター・オトゥール、オマー・シャリフという『アラビアのロレンス』の主演コンビに加えてクリストファー・リーまで出演しているというのに、どうして公開まで
「ダリ展」@国立新美術館 シュルレアリスムと言ったら“誰”を思い出す?それはこの人、“ダリ”。(オヤジギャグです)個性的な作風は一度見たら脳裏から離れない。 スペイン・アメリカの美術館等の協力を得て催された大規模なダリの回顧展。この
『フランコフォニア ルーヴルの記憶』 巨匠アレクサンドル・ソクーロフの美術への愛情が再確認される一風変わった映画。かつてソクーロフは『エルミタージュ幻想』(未見)というロシアを代表する美術館を舞台にカメラを回した。美術品つながりで言えば、そ
『湯を沸かすほどの熱い愛』 <宮沢りえ>ほどの大女優なら企画やスタッフを選べる立場だと思うのに、メジャー初作品の新人監督…しかもオリジナル脚本を選んだというのには拍手を送りたい。誰もが守りに入りたい時代なのに、リスクを恐れず果敢にチャレンジ
『ジュリエッタ』 スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルお得意のめぐるめく運命の皮肉と愛を描く。手慣れた題材に思えるが『私が、生きる肌』よりも『オール・アバウト・マイ・マザー』の方が近いか?毎度のことだが、アルモドバルにとっていかに“母”が特別
『ダゲレオタイプの女』 黒沢清監督がフランスで映画を撮る。それも日本人が出演して舞台だけ拝借して…ではなく、キャストもスタッフも外国人というのには驚いた。 タイトルになっている<ダゲレオタイプの写真>が作品の性質を決定的にしている。撮影する
『PK』 『きっと、うまくいく』の主演・監督のコンビ再び。主演アーミル・カーンのPKという名前が何なのか、これだけでは不明だが、むしろ別の二文字のアルファベットが脳裏に浮かんだのは私だけではあるまい。(予告編では触れてないので、記さないでおく。
『この世界の片隅に』 近頃、耳にするクラウドファウンディング。有志から企画のために資金を募って実現しようというもの。本作からはその熱意がしっかり感じられた。 1944年、広島生まれの“すず”が軍港である呉に嫁いでゆく。映画は「やがて来るその日」
映画を見ていたから、見るか見まいか迷っていたけど、見に行ってよかった!NTLive『戦火の馬』 原作は1982年にマイケル・モーパーゴが発表し、スティーヴン・スピルバーグの手で映画化もされた名作の舞台。この舞台をみてスピルバーグが制作意欲を持ったと
『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』 『アウトロー』の続編だが、日本ではメインタイトルが違うので別物みたいにも見える。(『96時間』のパターン?) トム・クルーズのもう一つの人気シリーズ『ミッション・インポッシブル』と差別化をはかるように、
『われらが背きし者』 人のいいのもたいがいにした方がいいのか。英国人夫婦はバカンスで訪れたモロッコでロシアンマフィアにUSBメモリーの配達を頼まれる。しかし“子供の使い”だったはずがとんでもない事件に巻き込まれる…。旅先で知り合った見知らぬ異
『永い言い訳』 3.11以後登場した、震災をきっかけにした映画の大半とはようやく違う衣をつけた作品が昨今出始めた感じがする。ともかく揃いも揃って同じ方向の苦言ばかりでは、見ているこちらも飽き飽きし始めていたところ。西川監督の観察眼は定評のあると
『ソーセージ・パーティー』 お客様は神様です。小売店の商品にとっても<自分たちを購入してくれる>客は楽園へ導く神様のように思っている。ソーセージ(なぜか男性)がパン(なぜか女性)に恋して合体する日を夢見る。そのためには同じ客に買ってもらうし
東京国際映画祭、ラスト・スパート!『ヘヴン・ウィル・ウェイト』http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=133 欧州で若い女学生がイスラム過激派に参加するニュースが流れることがある。決して貧しい家庭でもなく報酬目当てでもないのに、なぜ彼女
『鳥類学者』http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=139 当初、観るつもりはなかったのだが、1回目(合計三回上映)の後で流れてきたツイートの内容やプログラミング・ディレクターの矢田部氏のブログを見て、「これは!」と思い急遽チケットを取
備忘録『ネヴァー・エヴァー』『フロム・ノーウェア』 どちらもワールド・フォーカス部門。だが、前者は迷った…というのもIMDbの評価が著しく低いから。(5点前後)他の作品は押しなべて6点の後半から8点近いものばかりなので、最後まで迷ったけど、その前
今年の東京国際映画祭も終了。チケット販売でドタバタしたけど、来年は改善されると信じましょう。さて、つぶやきにも書いたけど、コンペ作品は16本中3本しか見てなかった。…というのもグランプリ枠を押さえられたら他は我慢しようかなぁという思い
『バース・オブ・ネイション』 黒人奴隷にして最初の反乱を起こしたナット・ターナーの伝記映画。無抵抗の黒人を白人警官が射殺したというニュースも記憶に新しい。それくらいアメリカでは有色人種差別は消え去らない。 近年、『グローリー』『それでも夜は
『アクエリアス』@TIFF2016 某清涼飲料メーカーにこういう商品があったけど(苦笑)、これはブラジルの歴史ある高級マンション“アクエリアス”の話。建物が古くなったり周囲の開発が進むと、当然のように建て替えや地上げという話がついてまわる。乳がんを
『グローリー』http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=129 前作『ザ・レッスン/授業の代償』が第27回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞した監督と女優のコンビが贈る新作。社会派の側面はあるものの、取っつきやすい娯楽作品に仕上がっている。