日々生きてはいる。生活はとっくに破綻しているし、仕事も職場に行くのが精一杯。気力や好奇心はとうの昔に消え失せ、寝てみる夢が最大の娯楽。浮世の不義理を数えればキリが無く、羞恥でもだえそうになる。それでも、悩ましい今日は昨日へと流れ、八方塞がり
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たおやかないくらのつぶ感もよいが、酒肴には、塩のガンぎまった筋子がよい。箸でひとつまみ、口に放れば、目が覚めるようなしょっぱさに、滑らかな皮の感触。粒の微かな抵抗を噛み締めれば、じんわりととろけ、溢れそして広がる旨味、そして塩味。いくらもそ
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